マクガフィン

GODZILLA 怪獣惑星のマクガフィンのレビュー・感想・評価

GODZILLA 怪獣惑星(2017年製作の映画)
3.3
巨大な怪獣たちが支配する2万年後の地球を舞台に、故郷を取り戻すべく帰還した人類の闘いを描くゴジラシリーズ初の長編CGアニメーション映画。3部作の第1部。

ゴジラ初アニメということか、これまでのシリーズとは全く別の世界観やビジュアルは凄く思い切った設定に。地球がゴジラを頂点とした生態系による未知の世界のハードSFで、破壊の象徴ではなく破壊の具現と描かれているので、まさに新ゴジラ。宇宙船のディストピア感が何とも言えない。

三部作の導入部なので世界観や設定の説明が前半に集中してしまうが、ゴジラの突然変異と同様の延長でSFに推進する。現実に対する皮肉や、ゴジラはメタでもあるがメッセージ性はそれほど強くはなく娯楽に比重を置くのだが、複雑な種族と文明や宗教も関連しているのでこれから出るくる可能性も考えられる。
SF要素の空間描写や世界観や造形はCGアニメに合致する。

主人公のハルオは両親をゴジラに殺され憎しみを滾らせている典型的な猪突猛進型の巻き込み型で、異星人エクシフのメトフィエスから気密情報を得て理論武装し、移住の道が閉ざされたり食糧が枯渇する背景もあり地球に戻ることに。
ハルオの大義名分は、地球の奪還と人類の尊厳を謳い、以前地球を支配しているゴジラと戦うことになるのだが、危うい精神と好戦的な行動は個が集団を破滅へ導くような危殆が張り巡る。

アニメ声優特有の声はあまり好きではないが、おそらく声優に統一したことで各キャラ間と作品の声の温度差の隔たりが少ないことが良い。

後半になりやっと回想以外のゴジラが登場。恐らくシリーズ史上最も遅いだろう。
ゴジラは、筋肉隆々のデブマッチョで不細工。大きいが、これまでのゴジラと比べる対象物が山などの自然なのでイマイチ伝わらない。CGより実写の方が厚みを感じて迫力があるのだが、それを補うためにデブにしたのかな。ゴジラだけ「KUBO」のようなストップモーションアニメにしたら凄い迫力だっただろう。
何といっても凄いのが核が効かないことで、おそらく「シン・ゴジラ」は核攻撃で撃退できただろから恐ろしい。この設定は人類が地球を追われたことと、テイストがこれまでの空想特撮からSFに推進する説得力に繋がる。

ゴジラとの戦闘は、ゴジラの弱点を地形を活用して攻めながら戦闘中に情報収集して活用する戦術的に。また、実写では困難なアングルや爆発表現が秀逸で、CGアニメならではの疾走感や収束感も抜群に良いが、死への恐怖や人類命運に関わる任務の責任の重さに対する悩みや葛藤の描写がないのが残念。

主人公以外の人物の掘り下げが少なく、物語と共に徐々に煮詰まってく設定と予想。
絶望的な展開と次作への布石があり、特にメカゴジラや好戦的で誘導するようなメトフィエスの野望などの続きが気になるが、次作の第2部の上映が半年後の2018年5月と期間が空くので更に驚愕する。Netflixとレンタル後を見据えた上映やアニメ制作は時間がかかるので仕方ないのかな。気ままに待とう。