青二歳

素晴らしき金鉱の青二歳のネタバレレビュー・内容・結末

素晴らしき金鉱(1941年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

映画で“東寶・吉本興業共同制作”なんて出てくると改めて吉本って戦前からあるんだなーと妙に感心。1941年斎藤寅次郎監督コメディ。柳家金語楼師匠と立花潤子が朝鮮の夫婦を演じる。この作品はオール朝鮮ロケですがメインキャストは全員日本人で全編日本語。金語楼は初めての兵役が朝鮮の地で、そこで病気にかかってハゲたらしい。除隊後そのハゲを売りにするんだから芸人はすごい。
併合時代の朝鮮のフィルムとしても貴重なんじゃないでしょうか。自分の知る限りでも結構このころの朝鮮映画は残ってるみたいですけども、そのうちの一つとして。

洗濯嫌いって嫌だな…洗濯嫌いの男が、奉公先の主人に洗濯好きの女と結婚するよう言われ、所帯を持つため暇を出される。お前なんか嫌いだよーとプリプリしている金語楼ですが実はツンデレ。仲良くなり子供をもうけるも、貧乏道中のなか妻を病で亡くす。その後は子供らとのロードムービーに。笑いの鮮度は感じないのは仕方ないが、金語楼師匠のえびす顔につられ、なんとも言えないほのぼのとした笑いは生きている。
そして砂金採りの手順は素直に興味深い。あんな発議の砂金村隣り組常会なんていいな。〽︎村のため大きく国家のために砂金報国だ〜と(歌詞はうろ覚え)砂金採りの近代化を進めようとする後半も面白い。話は息子と恋仲のロマンスにシフト。見合い話が出るも自由恋愛の勝利という王道。

あと当時の劇中でパンを焼いてて妙に感心した。というのも、かつて終戦直後の北海道で米が無くパンを焼いていた話を聞き、それを思い出したから。イースト菌が途絶えないように毎日各家庭でタネを融通し合ったらしい。なるほど戦前においてパンを焼くということは今より一般的だったのかも?(2回焼いたことがあるが半日がかりでこんな大変なのかと驚いた)
青二歳

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