青二歳

ジョバンニの島の青二歳のネタバレレビュー・内容・結末

ジョバンニの島(2014年製作の映画)
3.9

このレビューはネタバレを含みます

北方領土・色丹島がソ連に奪われ収容所送りになってしまう激動の戦後を、宮沢賢治“銀河鉄道の夜”へのオマージュを重ねながら、少年の目を通じて描く。
盛り込みすぎの気がしないでもないが、戦争アニメにしてはイデオロギー臭が比較的薄くて、それだけで満足。
暁部隊の敬礼は号泣しましたよ…強制収容所のお父さんのシーンも泣きました…(T ^ T)

しかしまた玉音放送…戦争アニメは玉音放送入れなきゃいけない決まりでもあるのか?でも一番玉音放送後の描き方がイデオロギーと無関係で良かったかも。言語化できない父と、漁師として生活する祖父、それぞれの描き方がうまいですね。イデオロギーを出さず、こうして引き算してくれるとドラマとして引き締まる気がします。(つーかイデオロギー満載の戦争アニメが多いという事自体が異常だと思いますが、あまりに多いので今作くらい政治臭が薄いと逆に驚く。これも政治臭ゼロじゃないんだろうけど、他のに比べたら無臭レベル。)
“道徳の授業で使われそう系”は本当に引き算をしないけど、今作はその系統じゃないから安心して人に勧められるかなー。まぁ政治的立場が先に立つ人はどう見るのか分かりませんが。でも子供たちの心の支えとなる“銀河鉄道の夜”のイマジネーションがうまく“子供の世界”を表して、戦争のつらい面をイデオロギーで語らない姿勢はとても好感がもてました。

ただ不満もあって、収容所から脱走してお父さんに会いに行こうとする少年たちが、結構強運な事…叔父さんと女教師の助けがあるにしてもよく強制収容所までたどり着けたなと。帰路は悲しい事になりますが…

ところで気になったのは、色丹島にも空襲ってあったの…?色丹島?という点。根室の空襲かな?と調べ直したら北海道の空襲は短いながら、室蘭の沖合の航空母艦から行われたらしい。
青二歳

青二歳