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お琴と佐助のMegmiTanakのレビュー・感想・評価

お琴と佐助(1961年製作の映画)
3.6
私の原作を読んだ個人的イメージはもっと、常識人には到底理解できない変態的師弟関係にある閉塞感にまみれた二人を思い描いていた。原作の春琴からは、山本富士子のようなある種のか弱さや脆さは一切感じられず、また、佐助は一途な愛というよりむしろマゾヒスト要素が前面に出されていた。それでも二人の間に確実にあった肉体関係をはっきりと伝える谷崎の文体が余計に変態的で耽美なのである。

一方映画は、その変態的要素は影を潜め、純愛・信頼・道理といった要素がひしひしと感じられた。山本富士子、本郷功次郎ともにそれぞれの春琴と佐助像をしっかり持って演じている。そしてそれが見事なバランスで、素晴らしかった。
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