ドーナッツ

否定と肯定のドーナッツのレビュー・感想・評価

否定と肯定(2016年製作の映画)
4.5
誰もが知ってる、揺るがない事実を証明する。そんなことする必要ある?と誰もが思うが、イギリスの司法制度では「訴えられた側に立証責任がある」という。なんだその制度と思うが成立しているのよね。

「訴える側に立証責任がある」アメリカでではなくイギリスを選んだり、訴えたのに弁護士を雇わず情で場を支配しようとしたり、やり手な原告サイドに終始イライラさせられるけど、レイチェル・ワイズ演じるユダヤ人女性の歴史学者デボラ・E・リップシュタットの闘争心剥き出しの姿勢や凛とした佇まい、弁護団の冷静な振る舞いと内に秘めた思いに、心を奮い立たせられる。

特に弁護団の躍動ぶりがよかった。最近観た「スティル・ウォーターズ」のような熱さはなかったが、冷静さを失いがちなデボラをロジカルに説明して納得させ正しい方向へ導いてとても頼もしかった。