否定と肯定の作品情報・感想・評価

否定と肯定2016年製作の映画)

Denial

上映日:2017年12月08日

製作国:

上映時間:110分

あらすじ

1994年、アメリカのジョージア州アトランタにあるエモリ―大学でユダヤ人女性の歴史学者デボラ・E・リップシュタット(レイチェル・ワイズ)の講義が行われていた。彼女は自著「ホロコーストの真実」でイギリスの歴史家デイヴィッド・アーヴィングが訴える大量虐殺はなかったとする”ホロコースト否定論”の主張を看過できず、真っ向から否定していた。 アーヴィングはその講演に突如乗り込み彼女を攻め立て、その後名誉…

1994年、アメリカのジョージア州アトランタにあるエモリ―大学でユダヤ人女性の歴史学者デボラ・E・リップシュタット(レイチェル・ワイズ)の講義が行われていた。彼女は自著「ホロコーストの真実」でイギリスの歴史家デイヴィッド・アーヴィングが訴える大量虐殺はなかったとする”ホロコースト否定論”の主張を看過できず、真っ向から否定していた。 アーヴィングはその講演に突如乗り込み彼女を攻め立て、その後名誉棄損で提訴という行動に出る。異例の法廷対決を行うことになり、訴えられた側に立証責任がある英国の司法制度の中でリップシュタットは”ホロコースト否定論”を崩す必要があった。彼女のために、英国人による大弁護団が組織され、アウシュビッツの現場調査に繰り出すなど、歴史の真実の追求が始まった。 そして、2000年1月、多くのマスコミが注目する中、王立裁判所で裁判が始まる。このかつてない歴史的裁判の行方は・・・

「否定と肯定」に投稿された感想・評価

テーマは必ずしも誰もが興味深い内容ではないけれど裁判の展開はめっちゃ見応えある~(´・ω・`)私はアメリカ人だからお辞儀しない、とかこういう理由でこの作戦でいくって打ち合わせのうえホロコースト生存者は証言台には呼ばないっつってんのに勝手に口約束しちゃって案の定弁護団に怒られてギャーギャー言うてなんやねんこの女って思った笑
アーヴィングvs著者&出版社っていう裁判だけど、アーヴィング(余談だけどこの俳優の顔の下半身がすばらしくわかりやすい小物悪人顔です。ねずみの人ですね)と有能な弁護団のフルボッコ劇場でなんやかやスカッとした気がする。笑
裁判、ホロコースト、否定論者、予備知識なしでも話自体は付いていける
実話を基にしているし結果は分かりきっていても、静かに着々と進んで行く描写は飽きることもなくあっという間だった。
凄く丁寧に作られてるなと思った


良いとか悪いとかより見て損のない映画だと思う
歴史的、社会的勉強になるのは勿論だけど、思想や文化は違くても裁判に持ち込まれてないだけでアーヴィングやデボラを自分や他人に重ねられる部分は必ずあると思う
アーヴィングだって今回は言わば主人公の「敵」として書かれていたけど必ずしも間違っているとは思えなかった
言葉も思想も考え様、言い様なんだな…

そして何より真の主人公、裁判団達は敵に回したくないくらいにはかっこよかった
けれど羨ましいとはとても思え無い職業だ
こんなの自分だったらメンタルが保たない

定期的に観て思想の再確認、リセットの為の映画にしたい
いずむ

いずむの感想・評価

4.5
レイチェル・ワイズがとにかく最高。まず髪型が素敵すぎる。あれで何となしに似合うのほんと素晴らしい。いつまで弁護士を目指すんだ?とかジョギングルートのメッセージボードとか描写的には取って付けたようなものが多くて、会話していないシーンはけっこう退屈なんだけど、いざ開廷となればぐいぐい引き込まれる。デボラに話せる場面とそうでない場面を設けたことで自ずと彼女の発言に聞き入ってしまうのが構成としては上手い。魅力的な人物が「心の声」に打ち克とうとする姿はスクリーンに映える。傑作。
ホロコースト否定論者が、著書で自分を批判した歴史学者を名誉毀損で訴えた実際の事件の映画化。
面白いのは英国の司法制度では、被告側に立証責任があるという点。
訴えられたリップシュタット教授は、名誉毀損でない=ホロコーストの実在を裁判で証明しなければならない。
前半は資料を集め、アウシュビッツを訪れての裁判準備で、後半が裁判本番。
何が正しいのかは彼女も周りも知っている。
難しいのは原告側が学問としてホロコースト否定してるのではなく、事実を知りながら都合のいい歴史を作るため嘘をついてことを立証しなければならないこと。
そうでなければ言論の自由の封殺になってしまう。
仮に裁判で負けても歴史的事実は変わらないが、否定論者に力と場を与えることになり、それはユダヤ人であるリップシュタット教授には耐え難い。
これは教授が裁判を受けて立つべきだったのか、歴史を司法で裁けるのかを含めて示唆に富む話。
論点は違えど、今韓国でやってる「帝国の慰安婦」裁判との符号など実に興味深い。
TaiRa

TaiRaの感想・評価

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ユダヤ人歴史学者がホロコースト否定論者と法廷で争った実話。イギリスは何故か被告側に立証責任があるので主人公はホロコーストが起きた事を証明しなければならない。

主人公が一貫して何もしない/出来ない法廷劇で、映画にするの地味に大変だったと思う。主人公と弁護士たちとの間でいくらかドラマを作ってるけど。あと裁判自体を知らなくても、観客の多くは結末が分かってるしね。それでも法廷のシーンは面白く出来てた。揚げ足取りと話術で戦って来る相手に、着々と事実の証明をして行く。テンポが良いのもあって観やすい。事実を否定する人間には、付くべき嘘が多過ぎる。嘘を平気で言うのも法廷では弱点になる。こういう奴は多いし、最近増えて来たとも思う。製作開始時期は詳しく知らないけど、期せずしてトランプ時代を象徴した映画になった。日本も他人事じゃないし。

ポスターの写真、分かりやす過ぎる気もするけど良いと思う。真実から目を背ける者との戦い。原題のDenialって否定とか否認って意味だけど、克己って意味もある。これが主人公に対する言葉なんだと終盤で分かる。
以前、高須クリニックの高須院長がTwitterで「アウシュヴィッツは捏造だと思う」と発言していたのを目にして、「こんなことを思う人もいるんだ…」と、衝撃を受けていたこの問題。
でも、こういう考えの人は他にもたっっくさん居るんだろう。
なので、過去にその考えを持つ歴史家と法廷で争った事件を題材にしたこの作品は、観る前から楽しみでしかなかった。

実際に起こった事件を、法廷で「無かった」「あった」と争うことの虚しさったら…。
怒りと憤りを感じてしまった。
遠い国のお話と思いがちだけれども、日本も慰安婦問題があるし他人事とは思えない。


ただ、私にはレイチェル・ワイズ演じるデボラに、主人公としての説得力と魅力を感じることが出来なくて、彼女に対して途中からは「いいから黙れや!」って思ってしまった。
この映画、蓋を開けてみれば主人公は弁護士軍団だったよ。
レイチェル・ワイズは主人公ではなく、ヒステリックなヒロイン的存在。
優秀でかっこよすぎる弁護士軍団が、クールであまりにも素晴らしすぎて、デボラの感情的な発言や行動にはイライラ。


なので、
新聞記者たちがカトリック教会のスキャンダルを暴いた実話を描いた『スポットライト』のように、この作品も弁護士軍団を主役にして、彼らのチームワークと優秀さを全面に描いてほしかった。
難易度が高い裁判に挑む彼らをもっと観たかった。。
faster

fasterの感想・評価

2.9

このレビューはネタバレを含みます

自分が生まれてすぐくらいの出来事なので、こんなことがあったんだと思った。当たり前のように学校の教科書にもホロコーストの事実が載っている時代に生きているため、違和感があった。
映画全体の流れとしてはやや物足りなさを感じた。よくある映画のように問題が発生し困難を極めるが、頑張って登り調子になってきたところでまた新たな壁にぶつかり、大きな挫折を味わう。しかし最後には実を結びハッピーエンド、という流れの中で、大きな壁が低過ぎて挫折が一瞬で終わってしまったため、結局やっぱそうなるのねっという感じで展開に驚きと深みがないように感じた。事実に基づいているとはいえ、そこをもう少し深くしたほうが面白かったかも。

一方で、判事が否定論者を弁護する発言をしたことや、最後の法廷に入るときに卵を投げつけられたこと、敗訴した時に握手をせずに無視をした表現をあえていれたことから、ホロコーストがあったということが事実ではあるにしても、多様な意見を頭ごなしに否定するのではなく、相手の話をちゃんと聞くことの必要性であったり、対話の重要性を感じさせる表現が随所に見られたように感じた。
ある意味で現在の報道の自由であったり、思想の自由に関して警鐘を鳴らしているように感じた。一見すればホロコーストに関する映画なのであるが。
今この映画をあえて作った意味が必ずあると思うので、現在の社会から捉えるとそういうメッセージがあったのだろうか。
観る時代によって捉え方は大きく変わってくるものもある。だからこそ、映画館でやっている映画を、公開している“今”観ることが重要であると改めて感じた。
法廷劇。ホロコーストがあったかどうかが論点というより、歴史学者としての正しい在り方を問うような、そんな話かなと思った。
展開は極右レイシストを有能弁護団がほぼ一方的にたこ殴りにする展開に。
事実に基づいたエピソードとはいえ、映画的にはもうちょっと丁々発止なやりとりがあっても良かったかも。
老弁護士のリチャードの存在感が素晴らしい。もし告訴されたら、ああいう人に弁護してほしい。

右であれ左であれ、メディアはいつだって都合のいい情報だけを切り取って、都合のいい真実を伝える。真に平等な情報等今やどこにも存在しない。
アウシュヴィッツを否定する歴史修正主義者に訴えられたユダヤ人女性歴史学者が主人公の裁判劇。まさかこんな明らかなことで、裁判が起こるの?って思うけど、事実に基づいた映画とのこと。
自分で自分を弁護してるから持論を好き勝手に主張できる相手に対して、主人公は研究者として誰よりも真実を知っているにも関わらず、法廷戦術上、相手の土俵に乗らないために、沈黙を貫かなければならない。もどかしさから、感情的になりがちな主人公に対して、あくまでも冷静に決めた戦術を貫く弁護団。特に、主に弁論を進めるおじいちゃん弁護士がかっこいい。
裁判の結果は当たり前だけど、被告の勝利。こんなことのために何年もかかってしまうのは複雑な気持ち。そして、日本で同様のことが起きたらどういう判断がされるか?キチンと判断しないんだろうなぁと、なんとなく日本の司法には信頼が持てない。
なんの罪悪感もない平然とした顔で差別的発言をし、裁判が終わっても勝ったのは自分だと、まだトンデモ理論を続ける原告。日本にもいるけど歴史修正主義者が同時に差別主義者なのは世界共通なのか。こんな輩とは関わりたくないね。
原題は「Denial(否定)」なのに両論併記(しかも片方はトンデモ)しちゃってる邦題は「相手の土俵」に乗っかっちゃっててダメだろ。
以下蛇足。イギリスでは訴えられた被告の方に立証責任があるって、細かいことは判らんがそれってどーなの?って思った。あと、気になったのが判事と弁護士の被るカツラ。日本人の感覚からするとコスプレにしか見えないけど、きっと意味があるんだろうね。
日比谷シャンテで観賞。
評判の通り質も高く全く飽きない展開で非常に楽しめた。
歴史的事実というのは、現行犯で捕まえる泥棒とは違い、事実を積み上げて検証していく必要があるのだけど、古い事項や戦争などの特殊例は十分にエビデンスも揃わないケースもある中で、歴史学者が色眼鏡で反論を主張したら....という内容。
そういう相手だと純粋に歴史学の観点で論戦しても噛み合わない、意見を尊重する気もない訳で。
主演のレイチェル・ワイズは『ロブスター』以来だけど、まだまだ綺麗だったね。『ハムナプトラ』で注目されたけど、近年は作品選びもとても良いかと。
そして敵役となったティモシー・スポールの熱演も素晴らしかった。観て損のないおススメ作品だ。
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