SatoshiFujiwara

牝猫たちのSatoshiFujiwaraのレビュー・感想・評価

牝猫たち(2016年製作の映画)
3.2
本作でロマンポルノ・リブートプロジェクトは3本目だが、悪くはないが1番落ちるか。この後には中田秀夫に園子温っつークセ者が控えてますが(笑)。

映画の全体的な主題が「現代人の孤独と真の絆」みたいなテーマに還元されがちな描き方がされており(マンションに閉じこもりっ放しで深い人間関係を回避する男、妻に先立たれた老人。それらの男とのデリヘル嬢・雅子と里枝の「商売」を超えた繫がり。子持ちのデリヘル嬢・結依が「仕事中」にうさんくさい男に子供を預けざるを得ないような待機児童的もしくは低所得者問題の暗示)、映画的な表現の突き抜けがあればそんなことは些細な問題に過ぎないのだけれど、インパクトはいささか弱い。

デリヘル嬢3人の日常、ということでロマンポルノを少しでも知っている人はタイトルも含めて田中登の『牝猫たちの夜』へのオマージュ、もしくな自由なリメイクだと分かるだろうが、しかし田中作品の力の漲り方には及ばない。女優は3人とも素晴らしいが、さらに体を張って欲しかったっす。

ちなみに本作の舞台は終始池袋なんだが、西武池袋線沿線住まいでしょっちゅう池袋に行く俺にしてみれば全てのシーンで細かい場所が特定出来てその意味ではえらく作品世界に入り込んでしまった。映画に登場するよく知った場所は往々にして全く違った印象をもたらすが、あの薄汚い(笑)池袋の夜が本作では魅力的に捉えられていた。これは良いね。映画の魔力。
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