歪み真珠

君の名前で僕を呼んでの歪み真珠のレビュー・感想・評価

君の名前で僕を呼んで(2017年製作の映画)
-
ひどく甘いレモネードを頭から被ったみたい。どのシーンも微かな閃光が走る。眩しくてずっと目を細めていた。

タイトルバックの映像と二つのピアノの絡み合う音が美しくて開始早々目を潤ませた涙腺に節操がない人間はこちらになります。あとから調べるとはじめの音楽は連弾と知ってますますこの映画が好きになった。
音楽が素敵だった。劇中にもバッハ、リスト、ブゾーニなんかがでてきて、坂本龍一さんもサウンド・トラックを作っていたり。


一等好きな演出は海の底から少年の象が浮かび上がるところだ。自分のもちうる性の自覚。心の襞をゆるりと水と指とゆたかな光に撫でられた。



エリオの作画は萩尾望都さんなの?「残酷な神が支配する」のジェルミに似てる。線の細さと成長途中の華奢な身体も、君は自信なさげだねなんて言われてしまう隙さえも。
幸いなことにエリオの両親はジェルミのそれと違ってとっても素敵な人たちだったけれど。心が切り裂かれそうな愛の終わりもきっと大丈夫だと思える。あの父と母がいるから。

ラストシーンの涙の演技すんげかったな~。すべてをその涙で抱いてしまった。


こうかんこ。服も体液も名前すらも。彼になりたい、彼とひとつになりたいと願う欲求。愛する人に抱く感情。ここでは二人が同性だからよりいっそうその同化を感じられるタイトルだ。

私はもうアプリコットを冷静な気分ではみることができないかもしれない。今まで性的な目で見てしまう食品は無花果だけだったんだけど。この映画のおかけでアプリコットも…


アメリカ人のオリヴァーが立派なからだで着こなすラルフローレンと、エリオの着るラコステのポロシャツがよかった。この夏はラコステのポロシャツを買っちゃおう。
そしてサウンド・トラックも。