なつみ

君の名前で僕を呼んでのなつみのレビュー・感想・評価

君の名前で僕を呼んで(2017年製作の映画)
4.8
この映画を見る前から、このサントラが好きでよく聞いていたが、映画を見たあとではまた違った印象を受けた。ただ綺麗という美しさではなく、エリオの繊細な心情とその儚さ、迷い、気づき、苦しみ、愛おしさがよく伝わってくる。映画はどの場面を切り取っても美しい。北イタリアの田舎は、夏とは思えないほど空気が澄んで映る。何度か見られる外での食事のシーンは、朝も夜も外でみんなが集まり、ワインをあけながらそのひと時を過ごす文化に感銘を受けた。オリヴァーが卵を割れないシーンは何か意味があるように感じた。どこか彼にはここに溶け合うことができないなにか…。エリオの家族内でも英語やフランス語が飛び交い、多国籍の文化だということを強く感じた。

また、エリオの家族からの愛に何度も心を打たれた。エリオの気持ちを否定するどころか尊重して励まして強い言葉を与えて、いっぱいの愛を注いで育てられたんだなと感じた。心が美しいとはこういうことだなあと。宗教映画などの思想的な考えの美しさを感じるものも多くあるが、そうじゃない無条件の愛を感じて涙がとまらない。
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