イタリアで起こった一夏の恋のお話。
こうまとめてしまうと、ありふれた物語に聞こえてしまうし、はじめはわたしも相手が同性というだけでそのレールをなぞった話なのかな、と思ってました。
だから、明るくて眩しくて美味しい食べ物に溢れていて、最高に夏を楽しめる場所での恋って素敵だなー2人の自然な演技と美しさも加わって最高だなー切ないなーと好感は持ちながらも、めちゃくちゃ心に残るか?と言われるとそこまでかなーと思いながら見てました。お別れのシーンまで。
その後が凄かったです。一番心に残ったのは、彼と別れて傷心のまま帰ってきたエリオとお父さんとの会話。この会話のおかげで、映画の印象が変わりました。彼らのような時を共に過ごせる人がどれほど特別なのか、瞬間を逃してはいけないし、後からなかったことにしてもいけない、きちんと切り取って全部の感情を覚えておく。
途中までエリオと良い雰囲気だったのに振られてしまった女の子が聡明で思いやりがあって凄く素敵だった。彼女もきっと振られた瞬間は嫌な感情があっただろうに、きちんとそれを飲み込んで糧にして律儀に良いところを伝えてくれて、こんな人と生涯の友になれたら嬉しいだろうな。
そして最後のシーン。ただただエリオの顔を映してバックには食事の支度をする人たち。これも凄く良かった。
一夏の恋はあくまで序章で、その後の感情の遺し方というか着地(というか徐々に消化していく過程?)が濃密にぎゅっと詰まってて観終わった後の満足感が高かったです。