ひろ

オーシャンズ8のひろのレビュー・感想・評価

オーシャンズ8(2017年製作の映画)
3.2
 オーシャンズシリーズのジェンダースワップ作ということで出演者ぐらいしか事前情報入れずに鑑賞。

 結論から言えば、普通に楽しめる作品だったと思う。別にこれといってダメな部分はないし、相変わらず軽快なノリでオールディーな音楽を背景に見せてくるスマートな盗みは見ていて爽快感すら感じる、特に序盤のサンドラ・ブロック演じるデビー・オーシャンが見事な手際で盗みを働き、あっという間にホテルで一泊という流れは見ていてとても楽しかった。
この作品、娯楽映画として普通に面白い。メインキャストもオール女性で、煌びやかで華麗なファッションに目が向けられていてとても華やかな画面が続く印象だった。

 キャストもアン・ハサウェイは相変わらず可愛いし、ヘレナ・ボナム=カーターのあのちょっと頭のねじが外れてそうな感じのキャラはハマり役だし、個人的にはなんといってもケイト・ブランシェットのルーがツボだった。今まで上品な役柄のイメージが多い女優さんだったので、「今回のロッカーのような衣装でヒロインの犯罪仲間っていう悪い奴はどうなんかね…」と思っていたけどいやはやかっこいい!また新しい一面を見せてもらった気がする。







 ところで、リブート作品であるが故にどうしても今までのオーシャンズを知っている身としては、それらとの比較をどうしてもしながら見てしまうというのだが、こう…「普通」なんだ、さっきから普通に面白いとか書いてる通りとても「普通」。11,12,13がトリロジーとして素晴らしい出来だったが故に余計にその普通さが気になってしまった。
 
 一番気になったのは計画がうまくいきすぎる、ということ。
確かにデビーは入念に計画を立てたけど、それがあまりにもうまくはまりすぎるというか、ピンチらしいピンチが全くない。
一瞬だけ「お?これはどうするんだ?」と思うシーンもあったけど結局労せずして解決してしまうし。ルーがこの盗みの計画にデビーの個人的な復讐が含まれることに気づいたシーン(まんまオーシャンズ11のダニーとラスティのそれである)があるのだが、これも他の仲間には全く打ち明けず、二人で少し話してハイ終了。
スマートなのは結構だがあまりにもうまくいきすぎて今まであったスリル感(ダニーの顔が割れてたり、みんな揃ってつかまっちまったり、撤収のかなめのドリルがぶっ壊れたり)みたいなものが皆無で、最後のどんでん返しみたいなのを期待してた分ちょっと寂しいクライマックスに思えた。

 あと細々としたところで言うなら、今までは盗みの相手も結構なワルで(12はアレだがやむを得ずターゲットにした感じだし)、そいつから盗むことに意味があったが、今作では盗まれる相手はカルティエで別に何の因縁もなければ、必然性もない。もしかするとデビーは復讐する相手を巻き込みやすいようにこう言った場を用意したのかもしれないが、特にそういった印象は受けなかった。

 




 それと一部でこの作品が素晴らしい女性映画だという声もあるけど、正直自分はこの映画にそういった意義をさして感じなかった。そもそも自分は映画とかにそういうことを持ち込むのが好きじゃないんだけど、なんかパンフにも書いてあったからちょいと気になった。
 
 確かにこの映画は今まで男の人が主演で描かれていたであろうものを女性で描くし、そこに「女の武器」的なものもほとんど持ち込まないからそう見えるんだけど、そもそも別に全員が女性である必要性を感じない(ネタバレになるから言わないけど決定的にそう思うシーンもあった)し、盗む品もジュエリーってのがなんとも…
確かにダニーも変な仮面盗んで捕まってたんで兄妹だからお互いロマン重視と言われればそんな気もするけど、仲間も巻き込んで、わざわざ盗品を売りさばくという手間とリスクを背負ってジュエリーを狙う意味がよくわからなかった。






 とやかく言っておいてあれなんだけど、やっぱり普通に面白いから一度見る価値は十分にある。カメオ出演も多いのでどんな有名人が出ているのか探しながら見るのも楽しいし、あんまり深く考えずに素直に楽しむべき作品だと思う。これから9,10と続いていく可能性もあるしこれからが楽しみな映画だった。
ひろ

ひろ