ベビーパウダー山崎

昼下りの女 挑発!!のベビーパウダー山崎のレビュー・感想・評価

昼下りの女 挑発!!(1979年製作の映画)
4.5
終盤に人妻がゲイの青年を抱きしめながら「キミは強い」と繰り返すつぶやきが、この旅で出会ってしまった数々のクズたち、薄っペらな欲望に流されている「弱い」人たちとワタシとキミは違うのだと訴え続ける、この不条理でどす黒い世界から抜け出すための最後の祈り(呪文)のようにも聞こえてきて、なんだかグッときてしまった。セックスと暴力でしか生きられない辺縁の人々が次から次へと現れては死んでいく、ジム・トンプスン原作を山本直樹がマンガ化した群像劇のようにも見えた。ビビッドな色合いと生と死がデタラメな男女の逃避行、もしかしたらゴダール『ウイークエンド』が元にあるのではないかと適当に邪推。スクリーンに映る剥き出しの地獄巡り、男と女の陰部の臭いが生々しく漂うポルノ映画館で見てこそだと思った。