ベビーパウダー山崎

実録白川和子 裸の履歴書のベビーパウダー山崎のレビュー・感想・評価

実録白川和子 裸の履歴書(1973年製作の映画)
3.5
スクリーンで浴びる曽根中生。圧倒される。初っぱなから引退作の白川和子を粉まみれにする曽根。綺麗に美しく退場させるのではなく、これもまた「俺の表現」の一つとして押し切る強い意志。
映画内映画として、撮影シーンに出演までするヒゲモジャ曽根の強面、そして助監役の相米もまたヒゲモジャで雰囲気がある。曽根の現場で育った相米、作風の繋がりも何となく見えてくる。
そのあとに雑居ビルの外階段で飯を食うくだりの人の配置が素晴らしい。何かしら動かし驚かせ、停滞することなく映画を揺さぶり続ける。そういえば、列車が走り去る画と共に「半年後」というテロップであっさりと時間が経過しているそのスピードにも唸るしかなかった。
社会から見放された老人と白川和子の「性と死」のくだりは田中陽造の世界観。東京タワーで老人の遺灰を撒き、ちんどん屋を尺八してから精液を口につけ「にがーい、死んだ人の味がする」。田中陽造にしか書けないセリフ。憧れる。