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アンダー・ハー・マウスのchiakihayashiのネタバレレビュー・内容・結末

アンダー・ハー・マウス(2016年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

@第26回レインボーリール東京

屋根葺き職人と呼ぶべきか、大工のように屋根に上って働くダラスは、私生活では女が放っておかない、言ってみれば女たらし。でも、どんな女性にも身心ともに満たされることがない。そんな彼女がファッション雑誌の編集者であるジャスミンと出会う。ジャスミンは結婚間近の彼の仕事の関係でこの街に越してきた。ジャスミンの婚約者が出張で不在の週末、2人はちょっとした躊躇いや駆け引きを経て、猛烈に惹かれ合うままに激しく愛し合う。が、婚約者が戻り、ジャスミンは泣きながらダラスに別れを告げる・・・。

ジャスミンは子ども時代、母親に言われるまま素直に同性への関心を封印してきたらしい事実が会話で語られるが、彼女自身に同性愛への偏見は無いと言っていいだろう。ただ、別に嫌いになったわけではない婚約者との関係をチャラにする気持ちの準備がまったくできてはいなかったということか。

エイプリル・マレン監督は、これまでの映画で描かれた女性同士のラブシーンが不満で(アブディラティフ・ケシュシュ監督『アデル』やトッド・ヘインズ監督『キャロル』のことかしらん?)、恋に落ちる瞬間から官能性の追求まで、どこまでも女性の目で、しかもレズビアンである俳優が演じるラブシーンを撮りたかったとのこと。クルーもすべて女性にするために、いろいろ苦労をして半年かかったという。

そして、なんと言っても重要だったのがダラスのキャスティング。中性的な容貌のモデルのエリカ・リンダーをネットで発見した際には欣喜雀躍したとか(そりゃあそうだろうネ)。

まさに女性の手による、女性のための、女性を描いた〝ザ・女性映画〟。しかも、早々と公開も決まった。そういう時代になったのだ。
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