芦屋紀文

暗黒女子の芦屋紀文のネタバレレビュー・内容・結末

暗黒女子(2017年製作の映画)
3.2

このレビューはネタバレを含みます

綿密に練られた構成と
登場人物それぞれに疑惑の目を向けて
本物の犯人を隠そうとするネタは見事だなぁと思いました。

お互いがお互いを守るために
敢えて疑惑を生み出し、互いが蹴落とし合っているように見えるミスリード?も素晴らしい。
みんながそれぞれ都合よく書いてるんだろうなぁとは思ったけど、自分の保身のためじゃないところに純粋さを感じました。
それさえも見越しているいつみさんって本当に狡猾だなあと思います。

ただ原作未読なのですが、
脇役四人それぞれの動機が弱いし
掘り下げも中途半端なので
どんでん返しに全てを注いでる印象。

女であることから親の店を継げない。
じゃあ店を燃やそう
となるだろうか。
継げないことによるストレス?
そこは想像するしかないけど、
彼女が店を燃やすことに対する
葛藤が全く描かれてないのも残念。
本当は継ぎたい店で、自分の家で、
大事な場所なのだから迷いもあるだろうし
そこまで親の店を継ぎたい理由も
よく分からない。。洋食屋やるっていう
素敵な夢を持って頑張ってたのに。

小説を盗作してまで
小説家になりたい印象を受けなかった。
まさか賞を獲ると思わなくて。とか
言ってたけど、
あまり野心を感じない人物設定だったし
盗作で小説家デビューしたことによる彼女の葛藤とか苦悩が一描写もなかった気がする。
秘密握られて、やばい。どうしようみたいな。何だろうな。なんかモヤっとする人物なんだよなぁ。

家が貧しいのはセリフで分かるけど、
どれくらい貧しいのか、片親なのか 
彼女自身の具体的な状況が分からず、
老人への性的サービスをしてまで
お金が欲しい理由も想像するしかなく
感情移入し辛い。
特待生なら授業料とか免除のはず。
なんでお金が必要なのか、もっと具体的な描写があるといいかなぁと。
そもそもなんだけど、アルバイト禁止の校則がある学校に必死で勉強して入る理由もよくわからない。憧れだとしても、特待生で入れるくらいの頭脳があるなら、アルバイトもオッケーな偏差値の高い高校もあるだろうに。
元も子もないこと言ってごめんなさい
それに今時、お金ない=援助交際=女子高生みたいな設定もなんか古い。

一番えっ!って思ったのは
留学生のブルガリア人。
双子の片割れを殺してまで日本に留学したかった理由が全然分からなかった。いつみラブだから?分かんないなぁ。
見過ごしてたらごめんなさい。
そして何故、いつみと先生の逢瀬を写真に収めてたん?どういうこと?
時系列がよくわからない。

格式高い名門高校だと想像はつくけど、
殺してまで来るほどブルガリア人は
日本に強いこだわりがあるの?

それぞれの悪女エピソードの
動機づけが弱くて何だかなぁという感じ。
時間の関係もあるだろうし、原作ではもっと掘り下げられてるのかもしれないけど、、

飯豊まりえさん悪くないし、品があるとは思うけど、
個人的にはもっと目鼻立ちがはっきりした
顔の女優さんのほうが役としてのイメージには合ってるかなぁと。これは好みの問題かもしれません。


親友バラバラにするって
サイコパスなの??
清水富美加が一番謎。何がしたいのか分からない。物語が平凡って、、


なんだろうな。
人物の具体的な掘り下げがぜんぜんなくて
ストーリー追うだけになってる映画の印象。
掘り下げてはいるんだけど、、なんだろうな、肝心なところが今ひとつ描かれてないというか、エンターテイメント性と結末まで観客をどうミスリードさせていくかに注力しすぎてて、映画の完成度としてはどうなんだろうか。やっぱり登場人物に魅力がないと心には残らないなぁ。

辛口レビューごめんなさい。
芦屋紀文

芦屋紀文