真実か挑戦か。
数字の大小で勝負が決まる
トランプを使った単純なゲームである。
ゲームに負けたら
勝者の質問に答えるか
もしくは勝者の命令に従わなければならない。
このゲームは今作において重要な要素の1つとなっている。
その理由を述べる前に軽くエピローグを紹介させていただく。
今作のヒロイン、桜良(さくら)は膵臓の病により余命一年と宣告されているのだが、それを周りに気づかれないほど明るく表情豊かでクラスの人気者である。
主人公である”僕”はクラスで一番地味で目立たない。
他人に無関心で読書好きな高校生であるが、そんな僕がたまたま彼女の闘病日記である”共病文庫”を拾い、秘密を知ってしまうことで、彼女の死ぬまでにやりたいことに付き合わされることになる。
エピローグを聞いても、特に新鮮味もなく、よくある御涙頂戴系かとタカをくくってしまう方もいるだろう。
何を隠そう私がその1人であった。
しかし、この映画のエピローグが他の映画と決定的に違うのは、ヒロイン桜良を演じる浜辺美波さんの存在であろう。
その人懐こい性格、頭に残る声、眩いばかりの笑顔で少々強引な彼女により、
私は”僕”とともにその魅力に引き込まれていった。
北村匠海さんにより、他人に興味が無かった頃から、桜良との触れ合いをキッカケに次第に変化していく”僕”をうまく演じてくれていたおかげで、
不器用ながらも自然体な高校生2人のやり取りを眺めることができた。
そんな器用ではない2人の距離が急速に縮まる助けになったのが前述のゲーム、真実か挑戦かである。
中盤から終盤まで、特に桜良はこのゲームで彼に自分の聞きたいことを聞こうと努めるものの、なかなか上手くいかず、
特に「私が本当は死ぬのが怖いって言ったらどうする?」の一言を聞いたときには、そこに普段明るく取り繕っている彼女の姿はなく、死に怯え弱々しいリアルな少女であった。
他にもこういった桜良という女性の明と暗を演じ切る浜辺美波さんという女優には只々感服した。
ストーリー構成も現在と過去(高校時代)を行き来したものでわかりやすく、
それでいて無駄のない台詞、シーン、現在と過去がシンクロする瞬間など、
よく練られているなあと監督のこだわりが垣間見える。
また、回想する現在の”僕”役の小栗旬が深みを出していたと思う。
現在、過去のそれぞれの人物を演じる役者さんたちが
同じような仕草、口調をしており、キャラクターのリアリティを高めているなと思った。
久しぶりの日本映画であり、触れ込みどおり本当に感動するのかと不安に思えたが、
杞憂に終わり、恥ずかしながら自然と感動して涙を流してしまった。
本当に聞きたいことはどうして名前で呼んでくれなかったのかではないはず。
最後まで不器用だなと。
すれ違う2人、想いがシンクロする2人
君の膵臓をたべたい。
ラストは涙無しでは見られない。
最後に、
浜辺美波さんは魅力的で、矢本悠馬さんは面白い俳優さんでどちらも初お目見えだったが、ファンになりました。
機会があれば是非。
来年アニメ映画化とのこと。