デコ

オアシス:スーパーソニックのデコのレビュー・感想・評価

5.0


彼等の音楽に初めて触れたのはラジオから流れてきた『whatever』という曲。
当時15歳くらいだった私の心を鷲掴みにした。なんていう美しい曲…!と慌ててタイトルとバンド名をメモに書き写し、CDショップに走ったのを覚えている。
そしてアルバム『モーニンググローリー』の素晴らしさ。
まだ子どもだった私は彼等自身のことを知らず奏でる音楽だけをただ聴いていた。
洋楽を聴くきっかけとなったのもオアシスから。

このドキュメンタリーは彼等のデビューから3年という短い時間で25万人を動員したネブワースライブまでを描いている。
ありのままの彼等の姿は私が思っていた以上に無茶苦茶な生き方だった。幼い頃から荒くれ者だったのね、リアム…。
さらにドラッグにアルコール、ケンカ…。
これじゃまるで『ストレイトアウタコンプトン』だよ。
そこに度々起こるギャラガー兄弟の激しい兄弟喧嘩が輪をかけてバンドを危なくしていた。それでもあの当時はまだどんなに喧嘩をしても、また2人は元通りに戻れていたのに。

ネブワース以降もバンドはどんどん成長し、それと同時に2人の確執も修正出来なくなり解散への道を歩んでいくがそこは描かれていない。
でもいいんじゃないかな。
あえて90年代を駆け抜けたオアシスが一時代を築いたのはこの3年なのだから。
映像の中でノエルの作った歌を歌うリアムの姿に涙が出てしまった。いくらクレイジーでもひとたび歌えばなんつーいい声…。そしてノエルの作るメロディの美しさったら。

ノエルとリアムが製作総指揮と2人の名前がクレジットされていたので「まま、まさか仲直り?!?」と喜んだが、パンフレットを読む限り相変わらずの絶縁状態らしい。肉親だからこその愛憎や確執は他人にはわからないだろうな。笑顔で話し肩を抱き合っている時代もあったのに。
うう、切ない。

貴重な映像は音源、2人を含むバンドメンバーや家族のインタビューはとても聴き応えがあり面白かった。オアシス永遠なれ!
デコ

デコ