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満月の夜のとぽとぽのレビュー・感想・評価

満月の夜(1984年製作の映画)
4.0
"二人の妻を持つ者は心を失くし、二つの家を持つ者は分別を失くす"

若さは誘惑?
遊び盛りの若者、大都市 = パリ(日本で言えば東京)に惹き寄せられる運命か!本人も知らぬ間に周囲を誘惑してしまい"魔性の女"というレッテルを貼られてしまうような、誰も彼も夢中にさせてしまう女性の日常と周囲からそういう風に画一的に見られて、理解されることのない(←ここ大事!最も理解しているはずの恋人でさえ…)愛の行方や葛藤。彼女自身も「友達は男しかいない」ということを言うセリフがある。そこで自ずと思い浮かぶのが"男女の間に友情は成立するのか問題"。
またしても男女の理想の距離感・付き合い方ギャップ問題、こいつは根深い。大体高打率で、男性のほうが嫉妬束縛気質のずっと一緒にいたい族・独り占めしたい属性で、女性のほうが毎日会わなくてもいい一人の時間スペース必要マインドの持ち主な気がする。本作のパリ郊外で同棲している出不精な詮索彼氏もまさしくそんな感じで独占欲の塊。
カレを愛しながら、そういう部分に気詰まりした自由気ままな主人公ルイーズは、インテリアデザイナー装飾の仕事をしていることも生かしてパリで一人暮らし始めるってよ。パリという街が放つ魔力も普遍的か、何をするにも快適なまるで世界の中心。オシャレな髪型(バンドのボーカルかクラブで踊っていそう)や服装にもハイセンスだだ漏れ雰囲気抜群カッコいいアイコニックな佇まい自体が、本作を象徴しているよう。カリスマ性たっぷりにこの自由奔放な恋多き女を演じる。実際、室内装飾も担当したパスカル・オジェは、遺作となった本作でヴェネチア国際映画祭女優賞を受賞。
今夜パリは流刑地みたい、それもこれも満月のせい!けど一途な気持ちも揺るがない保証なんて何処にもないわけで、やっぱりヤンチャしても戻れる内に戻ったほうがいいという教訓。なんて思いつつ、この主人公のような人は理解もされにくければ、またそうした己の奔放さも抑えられないわけで、そうなるとどっちもどっちで、今日もまたこの街のどこかで誰かが泣きを見ている?

私に欠けているのは孤独な体験なの、孤独の時間
やっと暇になったの
孤独を求めてると言ったでしょ
私達は彼よりパリを楽しんでるわ
ただキスがしたくて、レミを無視しすぎている
男は一人で十分!友達だと思ってたわ…
だから外に出て始発を待ってる
お互い外泊したけど二人とも帰った
さっきと逆で今はここがイヤ!私には放浪癖があるから
♪Elli & Jacno

勝手にキャスティング: 松本まりか?眠そうな目と高い声
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