ロロん

牯嶺街(クーリンチェ)少年殺人事件 デジタル・リマスター版のロロんのレビュー・感想・評価

4.9
少年少女達の危うさを描いた作品は多くあるがこの映画はとても繊細に彼らの機微まで表現している。すごい不安定で、でもきっとそれでバランスは取れていた。
この子供たちの不安定さは大人が作ってしまった空気に当てられているのだというはっきりとした描写。
若くてもなんでも出来るわけはなく、逆に出来ないことだらけで、朝早く起きた時の世界に自分一人かのようでなんでも出来るかのような全能感。ただそれだけなのになんでも出来ると思い込む力と実際とのギャップに苦しむのはどの時代も土地も変わらない。
小四は自分が彼女の世界を照らしたいと思うが、小明は彼から当てられた一つの光で幾つもの影が伸ばしていた。そんなことは信じたくない。
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