SUIKA

牯嶺街(クーリンチェ)少年殺人事件 デジタル・リマスター版のSUIKAのレビュー・感想・評価

2.9
何日経っても、1ヶ月経っても、この映画を語れる言葉が見つからなくて、そもそも何を綴ったらいいのかも分からなくて、この映画を良い方向に評価できる、ただ単純にでも「すごい」と話せる人と自分との乖離に絶望を感じながら、でも偽りたくないのでそのまま書きます。

何度も時計を見直しては残り時間を逆算し、観ている内容は名前と顔がいくら話が進んでも一致せず、ただただ自分何しているんだろうという思いと、次は何の映画観ようかな、そんなことばかり考えていました。

この映画のことを初めて知った時に、これは観なくては!とあらすじを読んで思ったはずなんですが、全く頭に入ってなかったのか
、「あれ?人が殺されたけど(ハニーのこと)まだ終わらないの?え、どこに向かっているの?」状態。

出来事が多すぎて、この映画の歴史もバックグラウンドも分からず、完全に置いてきぼりにされてました。

観終わってレビューを読みまくり、とにかく自分が勉強不足だも知りました。大人達における内省人と外省人の曖昧な関係性も、日本外省人与えた影響も、大陸よりも海を越えてアメリカへシンパシーを感じる学生たちも… 全く事前知識がなかったせいか、長いお話の中からそれぞれのシーンに気づくことができなかった。ただただ流れて行ったそれらは全て悲鳴とともに過去を見せていたのに。

どなたかのレビューでこんなに長いのは少年が少女を殺した経緯を、彼と彼女における全てのエピソードを取り出して語っているからだというのを読んで、なるほどと1人頷いています。どうしてそれが起きたのかは2時間っていう時間で語られがちだけど、本当は本当はそれだけじゃない。もっともっと言いたいことがあるし、もっともっと自分は感じてた。そういうことなのかな、と今なら思えます。

始終分からない分からないであったけれど、「君を助けられるのは僕だけ。守ってあげる」と少女につげて「私を変えたい? 私はこの世界と同じ、変わるはずがない」と言い放ったれてしまうところは、誰かを(無意識にでも/悪意なくとも)変えようとしてしまった経験がある人はみんなずきっとするはず。

ずっとずっと暗い映画だっていうのは突然の明るいシーンが出でくるまで気がつかなかった。映画を観ながら眩しいって思ったのは初めてでした。
SUIKA

SUIKA