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牯嶺街(クーリンチェ)少年殺人事件 デジタル・リマスター版のレクのレビュー・感想・評価

4.4
描かれるのは光と闇、善と悪、世の中に対する不満や苛立ち。
時代に翻弄される大人たちが子供たちに与える影響。

不安定な時期である思春期に外部環境の闇に飲み込まれ沈んでいく少年のありのままの姿とその状況下に漂う静かに瓦解していく緊張感が画面全体から伝わってくる。
そして衝動に駆られる心理描写は素晴らしく、一方でストーリーの骨組み自体はごくシンプルなもの。

話の本筋は1961年に台湾で起こった実際の事件が基なのだが。
長尺でありながらも、そんな社会を描いたこの作品のどこをカットできるというのか。
一つ一つの演出や淡々とした説明、それら全てが纏まってこの作品だと言えるのではないか。

正直、なめてました。
ここまでの作品だとは思ってなかったので鑑賞後のこの何とも言えないもどかしさと切なさたるや。
もう何を語っても安っぽくしか聞こえないだろう。
言葉ではなく、映像から感じてください。
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