「信じるか、疑うか」のキャッチコピーだからミステリー的なものを想像していたけど、ある意味そういうことじゃなかった。そしてそれよりも、この映画には救済のようなものを感じた。
「人も良いし、魚も美味しいです。」月末は彼らの素性を知っても同じ言葉をかけることで（だいたい田舎の紹介はこういうことしか言えないのよく解る）、それぞれの反応からキャラクターが解る。そして月末のキャラクターも。6人って設定を多く感じていたけど、ここの掴みの展開がスムーズでそこまで気にならなかった。
主演だけど月末はいわゆる"普通の人間"で、亮ちゃん、目立たずにその目立たなさを主張して6人のキャラ立てをしっかりしていて良かったです。
誰の言葉が本当なのか、過去のシーンもないからわからなくて、わからないまま進んでいくから気持ち悪い。月末の家庭事情も気になるし、6人の過去も結局なにが本当かはわからない。大八監督らしくて好きです。
冒頭『東タタール旅行記』という書物からの引用文が出てくるんだけど、イエス様的存在が恐らく劇中ではのろろ様であって、のろろ様のように人の目から避けて生きるしかなかった元受刑者の6人、それぞれに救済がもたらされていてその代表としてこの存在は大きな意味をもっているんだけど、あの大名行列的なシーンとかバンドのつまらん演奏のシーンとか、長回しが多くてテンポ悪く感じる。役者さんは実力派の方ばかりなので迫力があったし、市川実日子さんは素晴らしい役割をしていました。松田龍平さんのあの気味悪さはほんと唯一無二。凄すぎて人間離れしてる。「DEATH IS NOT THE END」。死は終わりではない。
