ぶみ

羊の木のぶみのレビュー・感想・評価

羊の木(2018年製作の映画)
3.0
山上たつひこ、いがらしみきお原作の同名漫画を、錦戸亮、木村文乃、北村一輝、松田龍平等の共演により映像化したサスペンス。
国のプロジェクトにより地方に移住した元受刑者と、彼らを見守る市役所職員の姿を描く。
原作は未読。
過疎化が進む地方都市、受刑者受け入れの担い手、古来から伝わる奇祭等々、日本が抱え込んでいるものが醸し出す不穏な空気感が終始漂いつつ、物語は進行。
冒頭、市役所職員を演じる錦戸が、各地から訪れる元受刑者に対し同じコメントを発し、その反応を描くことで、説明なくとも短時間のうちに元受刑者の人となりが描かれる展開はお見事。
元受刑者らしく、一筋縄ではいかない人物ばかりなのもステレオタイプながらわかりやすく、演者もキャラクターを楽しんで演じているかのよう。
ただ、思ったほど展開に起伏がなく、淡々と進んでいくとともに、それ程台詞も多くないため、各人物が地方社会に溶け込んでいこうとする描写を、もう少し深く描いて欲しかったところ。
本音と建前だらけの世の中と、日本の未来予想図を不穏な空気で描き出し、異分子に対峙する人々の度量が問われる一作。

今でも人殺し、昨日も、一昨日も、多分これからも。

〜The Scythian Lamb〜
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