YokoGoto

フェンスのYokoGotoのレビュー・感想・評価

フェンス(2016年製作の映画)
3.6
<オスカーをとったヴィオラ・デイヴィスの演技に感涙>

今年のアカデミー賞でヴィオラ・デイヴィスが最優秀助演女優賞を受賞した作品ではあるものの、日本では劇場公開されずDVDスルーとなった本作。レンタル解禁そうそうに鑑賞。

もともとは、「Fences』という戯曲が元になっているらしい。
どうりで、極めて閉鎖的な空間で、とめどなく繰り広げられる会話劇だった。舞台のほとんどが、自宅の室内か裏庭である。こういうシーンを観ていると、やはり戯曲が元になっていることがよく分かる。

戦後間もない、黒人差別も根強かった時代に、ひっそりと暮らす黒人の夫婦の物語である。

デンゼル・ワシントンのキャラクターはもとより、やはりオスカーを獲ったヴィオラ・デイヴィスの雰囲気および演技は素晴らしかった。
映画中盤の盛り上がり部分の絶叫シーンも素晴らしいのだが、何よりも普通の主婦感を醸し出している感じがすごい。

家事をしている姿、家事をしながら夫と話す姿、すべてがナチュラルで、そこに息づく一人の女性を浮かび上がらせる。
非常に秀逸な演技である。

話は、会話劇なので、かなり2人の人物像が重たくのしかかる感じ。
重たい2人の生きざまに、何を感じるかは人それぞれのように感じた。

女性であれば妻側の立場で感情移入するだろうし、男性であれば夫側で感情移入するだろう。
『こうあるべき』的な方向性は示されないものの、2人が繰り広げた夫婦のキシミに、人生というものを考えさせられる事は間違いなし。

会話劇が苦手な人にはおすすめしないかな。
YokoGoto

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