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フェンスのレクのレビュー・感想・評価

フェンス(2016年製作の映画)
3.0
人種差別、社会風刺を絡めつつ、ひとつの家庭内の壁を柵"フェンス"の比喩で描く。
戯曲が原作故にほぼほぼ閉鎖的な会話劇となるのだが、デンゼル・ワシントンとヴィオラ・デイヴィスの演技に尽きる。

作中でもあったように柵は外部からの侵入を拒む、そして内部の者が外に出て行かぬように留めておくもの。
元プロ野球選手のトロイは差別と挫折を生き抜き、時代の変化に付いていけず手に職を持つことを優先する。
自分と同じ道を歩んで欲しくないと願う一方で、新たな時代を生きようともがく息子への嫉妬。
そして人生を翻弄される妻ローズの苦悩。

柵(フェンス)の意味するところは、人と人とを分かつもの。
つまりは自己を保つ為の精神的な防御柵。
たとえ家族であっても他人の集合体であること。
赦し、受け入れ、時代と共に生きること。
家族が家族で在る為の理想と現実の対比。
あくまでもリアリティを追求した2時間の会話劇は圧巻だが、舞台的演出に合わない人は多そうだなといった印象を受ける。
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