闇の中で鈍い艶を放つ玉虫色の情景。印象的なポスターの色彩が象徴するように、闇の中から自分だけの世界を彩る色を見出していく少年の成長物語。
冒頭から虐待やらいじめやらドラッグやら、危うく怪しいジュブナイルのヤバみ満載。そのひたすら重苦しい内容と裏腹に映像は妙にお洒落かつ空疎。話はいつのまにか今風の切ないLGBTものに展開していき、なんとなくいい感じに終わる。
えっと・・・おわり?
悪くないけど、なんか。なんだろう。
私の感性が追いついてないだけ・・・か?
今思えばこれが私にとって初めてのA24作品だった。そして、この時感じた独特の印象が今に至るまでずっと私のA24作品全体のベーシックな印象としてブレずに継承されているのが面白い。先日WAVESを観た時のデジャヴュ感なんてまさにそれ。内容が決して軽いわけではないのに、そして映像も音楽も非常に美しくセンスがあるのに、どういうわけか今ひとつ自分のハートには刺さらない。巷にあふれている絶賛には到底至らない。
とはいえ、5本に1本ぐらいの確率で偏屈な私の琴線をもぶるんぶるん震わせる新作に出会えたりするのも事実。
つまり私はこれからもブーブー文句いいつつA24作品をチェックせずにはいられないだろうってことだ。なんか悔しいけど、さ。