スヌーピーマン

ムーンライトのスヌーピーマンのレビュー・感想・評価

ムーンライト(2016年製作の映画)
3.9
試写みてきました!!
ありがとうfilmarks!!

至極シンプルな作品。
映画というより
舞台演劇に近いような
アートのような

エピソードの多くは黒人映画に良くありそうなものだが、決定的に違うのが終始パーソナルな視点で描かれている事。重いテーマだろうなあ…と構えていたが、一貫して主人公シャロンの感情の起伏が導線なので、大げさな「何か」は起こらず拍子抜けしてしまうほどだ。それでも引き込まれていくシャロンの痛みは自分の痛みである。111分間痛かった。

母親役ナオミ・ハリスとマハーシャラ・アリの演技力は突き抜けて素晴らしかった。もちろん全員意味のある素晴らしい演技をみせる。そのせいなのか舞台っぽさを感じた。隙のない演技力の高さと、場の演出力の高さが違和感を感じさせない。やたら説明的な映画は苦手なので、行間を読ませる作品は好きである。

が、本当に余白の多い作品なので、自分の読みには自信がない。その難しさに、アカデミー賞での珍事と、ラ・ラ・ランドの存在が加勢してくる。チャゼル監督の悲しい顔が頻繁に浮かんで来ては消えるため、行間を埋める作業に集中できなかった。チャゼルのせいだ。チャゼルも好きやで。

たった25日間の撮影だとか、そのうちナオミ・ハリスは3日間だけの撮影でここまで演じ分けられたとか、シャロン役3名は一切接触を許されなかったとか…低予算にまつわる予備知識を上乗せすればすごいな~と。成功してしまった単館作品だな。3人のシャロンの目の演技が同じなのは、奇跡のひとつなのだと思いました。