なかなか渋い。変な意味なしに、最近のアカデミーっぽいなーーって印象。でありながら、LGBT作品がアカデミー賞受賞するのは歴史上初。映画史を変えた作品ですね。
とにかく美しい。美しすぎる映像に酔いしれながらも、描かれるシャロンの人生は不遇すぎる。同性愛に目覚めた彼の「孤独」と「人生の選択」がテーマ。
ファーストカットからビビった。3人の会話劇を、カメラぶん回しながら長回し。混沌とした地区の雰囲気の演出なんでしょうか？
そして驚いたのが、幼少期、青年期、成人期、3人は会わずに演技をしていたこと。お互い真似しないようにするためらしい。
全く見た目の違う3人やけど、とくに3期目いかつすぎたけど、うつむく姿勢、歩き方、特に目。一緒すぎた。あの寂しげな目の奥には、理不尽に耐える孤独が見えた気がしました。美しい。
てか3期目いかつすぎた。最初シャロンて気付かん。まさかのムキムキ金歯。しかもハズせるんかい。それはええけど。
「自分の人生は自分で決めろ。周りに決めさせるな。」父親のようにしたうフアンの力強い言葉。シャロンの生きる原動力になったんやろな〜。そんなフアンを演じたマハーシャラアリのアカデミー賞スピーチも感動的でした。
そしてフアンの妻を演じる、歌手のジャネルモネイが相変わらず美人すぎ。出てきてビックリした。素直にあざす。
おかん役のナオミハリスも凄まじい演技。受賞してほしかったなー。
シャロンの孤独で理不尽な境遇の人生が静かに美しく描かれてるけど、解決するわけでもない。国にもよるけど、それがLGBTの、シャロンのリアル。旧友のケビンは、そんな彼を優しく見守る。そのまま美しいラストカットへ。シャロンが自分の人生を初めて認めたような気がしました。
決して王道のエンタメ的な要素は一切ないけど、いろいろ考えてまう。見た人と、もっと解釈を交換したい作品。
"Who is you, Chiron?"
このケビンのセリフにも本作テーマが詰まってますね。
