黒人が主役でテーマもドラッグ、育児放棄、バイセクシャル、いじめと実に重厚なもので 全編にそこはかとなく漂う儚い哀しみのようなものが強烈に胸を打つ。そして映像の美しさがそれをより一層際立たせている。困難な人生を苦しみもがきながらも 子供から青年そして大人になる主役のシャロン。人が歳を重ね1歩ずつ階段を上がって行く様を見事に表現している。
各世代の主役を演じた役者も素晴らしかったが、個人的にはたった24分の出演で幼少期のシャロンに深い愛情を注いだファン役のマハーシャラ・アリの演技が印象に残る。アカデミー助演男優賞受賞も納得。ラストシーンに象徴される様に、どんな境遇で有ろうとも止まない雨は無く誰にも優しい月あかりが灯される。本当に美しい。感じ方はそれぞれだと思うが、1人でじっくりお酒でも飲みながら味わいたい作品。
