なおや

ムーンライトのなおやのレビュー・感想・評価

ムーンライト(2016年製作の映画)
3.8
 立派な売人と堕落した母親の間での「『黒人』としての生き方」と「愛情の示し方」。無垢でいることが罪なのか、他者の征服が唯一の生き抜くすべなのか、そう考えるのは当然なのか。彼が受けたとった、余裕からくる寛容さと、苦境から絞り出す愛情。何も知らない"Little" には複雑すぎたし、自分を知った"Sharon" には強大すぎたし、社会を知った"Black" には残酷すぎた。唯一、公平に射す月明かりの下でだけは、心から人を愛せたんだろうな。
 黒人という「人種」の1/3が刑務所に入っていく社会では、ありのままで生きることが困難なんだろうな。もちろん、ありのままってなんだよってなるけど、気付いたら苦境・トラブルに足を踏み入れているんだろうな。その背景には、歴史、ビジネス、政治、人の価値観、とか、あまりにも沢山の事が複雑に絡んでいて、果てしなく想った。
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