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ムーンライトのakqnyのレビュー・感想・評価

ムーンライト(2016年製作の映画)
3.7
人種、格差、ドラッグ、性、いじめ、犯罪。アメリカはじめ国際社会が抱える問題を扱いながら重たくなりすぎないのは、映像と構成の美しさゆえだろうか。考えるフックが多く、かつ描写が断片的で解釈を委ねる構成もあって考察するのは面白いのだが、扱うテーマが広い故にこの映画の芯がどうしても見えない。

あえて言うなら、人間の両義性だろうか。世の中を二元論的に見るなら、陽と陰、男と女、善と悪、黒人と白人という具合にかなり簡単に分けられるように感じてしまうが、そんな簡単な世界ではないことをこの映画は美しい映像でさらっと示す。

なぜドラッグの売人フアンはシャロンの面倒を見たのだろうか。なぜシャロンは憎むべきドラッグの売人として生き、ステレオタイプな黒人の強い男を目指したのか。

DVを受けた子のDVをする確率が高いのも、大悪人が裏で全く善人のようなことをしているのも、人は社会が定義した二元論的区分から逸脱しようとすると自らを肯定するために逆の方向に舵をきるように思えてならない。本来両義なところに線引きがあるために、そのような行為に出てしまうのだろうか。
それでも人間の両義性などありきたりで抽象的な概念でしかないので、やはり難しいなと感じた。


(題名でもあるムーンライト。月は女性の象徴であるが、その光を受けた黒人の子がブルーに見えるというのは、何を意味するのだろうか。ずっと考えてもなんか上手く言えない。それが分かればこの映画も分かる気がする。。)