まっくろくますけ

ムーンライトのまっくろくますけのネタバレレビュー・内容・結末

ムーンライト(2016年製作の映画)
4.1

このレビューはネタバレを含みます

家では母親に気を使い、学校ではいじめに怯えるシャロンの毎日。フアンは「自分の道は自分で決めろよ。他人に決めさせるな」と諭すように言ってたけど…自分の心のよりどころも無いまま、周囲のトラブルに巻き込まれていくシャロンが不憫でならなかった。彼の「泣きすぎて自分が水滴になりそうだ」という言葉に、実感がこもっていて切ない。

大人になり、刑務所を出たシャロン。彼の苦労の人生をたどってきたからこそ、嫌いだと思ってきた母親からの「愛してる」の言葉、ケヴィンの人懐こい電話口の声や笑顔が、いちいち沁みてくる。
そして印象的なのは、シャロンがケヴィンに、俺に触れたのはお前だけだと告白したとき―シャロンは不安で泣きそうな顔をしていたが、それに応えるケヴィンの笑顔を見て、嬉しそうに瞳を輝かせるところ。
シャロンの心のよりどころはここにあったのかという感じ。

最後の海のシーンからは、シャロンがこれからどこまでも自由に泳いでいけそうな希望を感じて救われた。見終わってからは、フアンが彼にやさしく諭してくれた言葉がじんわり響いてくる。