たちばな

昼顔のたちばなのレビュー・感想・評価

昼顔(2017年製作の映画)
3.9
映画館で観たかったけど観れてなくて、念願の、、。
約束を破っちゃうまでがかなりあっさりで最初は展開の早さに戸惑いつつも、
あっという間の2時間半だった、、。
ドラマのときからすごく好きで、
不倫はいけないけれども、北野先生と紗和にはどうしても結ばれてほしくて苦しくて、、。
映画版ではどうか、どうか幸せになってくれと、切に願っていた。
割と早い段階で奥さんがあっさり引き下がったり、ゆるい(というかぬるい)感じの2人の同棲シーンになんとなくザワザワとした不安が募り、、。

紗和は、多分実際いたら仲良くなれないタイプなんだろうなぁと思ってみていた。
映画見てて思ったけど、製作者側の意図かな?
紗和ってどこか自分が被害者だと思ってるんじゃないかなって思うような感じがあって。
それがお店の人に見透かされちゃってたのかなって感じがした。

でも紗和は子供みたいにまっすぐで、わがままでかわいい。
北野先生は、そういう「かしこさ」のない紗和のことを好きになったんだろうなぁ、、。
北野先生も、結局は奥さんを不幸にしたバカで自分勝手な男だけど
紗和にはほんとどうしようもなく、優しくて誠実な男だった、、。

ドラマのときの音楽を聞くだけで、
その当時のつらかった気持ちを思い出してギューって苦しくなった。
BGMってほんと大事なんだなぁと思った。

気づいてなかったけど、ドラマを見ていたとき、わたしは紗和と同じ気持ちになっていて、北野先生に恋をしていたんだなぁと思った。
だからもう、なんて言うか、もう、彼を愛おしく思う紗和の気持ちが解りすぎて、、。
映画中、ずーっと苦しかった。

後半はもうつらすぎてずっと泣いてて、
こういう展開にする作り手を恨んだほど。
苦しくて泣くけど、泣けるほどいい映画って訳じゃないからね!と。
だってもうわたしはこの映画を観られないと思う、苦しくて。

あくまでも不倫を"美しい純愛"に仕立てないのは、世論へのアピールなのか、、。
これが不倫の結末ですよってメッセージを感じて、胸糞悪くなった。
いや、そりゃそうなんだけど、、。
恋愛なんて、誰だって幸にも不幸にもするもんでしょう、、。
誰も傷つかない恋愛なんてない、
傷つけられたほうには、泣きわめいたり相手を責める権利はあるけれど。
でもこんな「かわいそう」にはなりたくないから、
わたしはせめて、どんなことがあっても奥さんみたいにはならないでおこうと思ったよ。

奥さんは最後まで被害者だと思った。
だから、紗和は彼女を恨めなかったし、
奥さんは紗和を恨んだ。

「わたしが悪者になる、わたしは何も悪いことしてないのに」
と言った奥さんの正論が忘れられない。

バイトの女の子が言った
「不倫は恋愛じゃない」
は、何に裏付けされた言葉だったんだろう?
それを知りたかった。
わからないから、ただ批判される紗和を作りたかっただけなのかって思ってしまう。
なんでアンタにそんなことわかるの?って、紗和に怒ってほしかった。

映画見て思ったけど、「好き」って感情って、「諦め」と両立しないんじゃないかと思った。
好きじゃなくなって、初めて諦められたことになるんじゃないかと。
「この人とは結ばれない」「叶いっこない」と解っていても、
恋心を持ち続けているうちは、愛しさを感じているうちは、その人への執着をやめられないもん。
会わずとも、話さずとも、
心の中にずっと大事にしまって守ってるうちは、
そこにある気持ちを忘れないでいるうちは、
諦めって、どう考えても結びつかないなぁって思った、、。
たとえ一生会えなくても。
だから紗和は今頃、なんでどうしてって思いながら、理解できないまま泣き暮らしてるんじゃないかと思うんだよ。

紗和、どうか、どうか幸せになって。