佐藤克巳

命美わしの佐藤克巳のレビュー・感想・評価

命美わし(1951年製作の映画)
4.5
「帰郷」「君の名は」の間に、絶妙な松竹大船調の心温まる人情喜劇のお手本の様な演出を見せた大庭秀雄監督の傑作。古城お濠端自殺の名勝地側に住む元校長笠智衆、妻杉村春子は何人もの自殺寸前の人を救って来たが、月夜のこの日も笠の胸騒ぎで二人の女を救った。市会議員北竜二の息子に妊娠させられた女桂木洋子は、以前から憧れていた次男佐田啓二と駈落ちし、新聞記者長男三國蓮太郎に救われた女淡島千景は、三國の世話した坂本武の医院看護婦を拒絶して居酒屋酌婦になる。佐田の駈落ちは三國にとって痛手、桂木の父宮口精二が告訴取下げ一家は窮地。駈落ちした寺の住職小沢栄の機転から好転し、佐田と桂木、三國と淡島が結ばれ、笠は市から感謝状を貰う。笠の尺八、杉村の琴の円満夫婦は絶品で、取り分け、杉村の演技は神技に近い。
佐藤克巳

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