Haman

ラッツのHamanのレビュー・感想・評価

ラッツ(2016年製作の映画)
3.0
世界中のネズミと人間の在り方を追ったドキュメンタリー。
都会のゴミ袋の山、コンクリートの隙間。日常生活のすぐ側で人間以上の数で蠢いているネズミ。解剖してみれば体には無数に巣食う寄生虫。冒頭は人間にとってどれほど有害な生き物なのか露骨なホラー演出で見せてくる。

中盤はそんなネズミを駆除する側。葉巻をふかしながら笑顔でネズミの共食い実験をした話をするおっさん、素手で叩き殺す捻り殺すを快楽にしてるインドの駆除業者、カンボジアで生きたネズミを捕まえてベトナムの料理店に輸入して換金する人々、人道的ネズミ狩りと称してテリア犬がネズミを咬みちぎるとこを見ながらゲラゲラ笑うイギリス人。

動物愛護の観点からネズミ駆除を否定する人には是非とも疫病に罹って死んでほしいと思ってるけど、人々がネズミを楽しみながら殺し笑いながらそれを語っている姿はかなり不快。
チラッとミッキーのシールを写したり、監督はかなり性格が悪いんだろうなと思ってたら『スーパーサイズ・ミー』の人でなんか納得した。

ラストは大量のネズミと共生しているインドのヒンドゥー寺院。ネズミは人間の生まれ変わりで聖なる生き物"カバス"だと説き、ネズミの泳いだミルクを平気な顔して飲む。
駆除する側、崇拝する側の両方がネズミに尊敬を持っていると話していて「尊敬」という単語がかなりスムーズにゲシュタルト崩壊した。
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