アベ二ティKazumaAbe

ジェーン・ドウの解剖のアベ二ティKazumaAbeのレビュー・感想・評価

ジェーン・ドウの解剖(2016年製作の映画)
4.0
伏線ないし前振り、画作り、冷えた空気感の演出と簡潔に描かれた人間関係。その全ての手際が良い。淡々と綴られる物語と抑えの演出。臓器のブニブニのリアリティ。本物を生で見たことが無い身だが、異物を取り出すときにちょっとくっついてくる肉感の精巧さにギョッとした。解剖の映像、本物の役者と特殊造形を織り交ぜて作る違和感の無さにも驚いた。地味ではあるが、至って手堅い良作にまとまっていた佳作。

近作で近いものを挙げるなら『10クローバーフィールド・レーン』だろうか。密室における事態の変遷、徐々に明らかになるクソヤバな状況。作品のシーンを包む照明、カラーの感じから言っても似ていた気がする。

ぶっちゃけ怖がれたかどうかといえばちょっとジェーンドゥの正体が気になり過ぎて、作業を停滞させる諸々の怪奇現象を見た時に「ちょ、そういうの良いから!!」というツッコミが出てしまう程にホラーどころではなかった(笑)。まぁ抑えの演出についても、ちょっと抑え過ぎかな?見せなすぎかな?と思ったりもして。

ただ、海外の近作のホラーは単にでっかい音で驚かすのではなく、「今そこに何かがいた…いない!!」という神出鬼没のドッキリで迫りくるので凄い。本作でもその手腕には背筋が凍るところでした。