さしすせ

アンダー・ザ・シルバーレイクのさしすせのネタバレレビュー・内容・結末

-

このレビューはネタバレを含みます

子どもでもないが大人と言い切れる年齢でもない。
ホームレスではないがセレブとは程遠い。
夢と現実の境で怠惰な生活を送り、田舎でも大都会でもない街で人生を浪費するサム。

サムの行く先行く先にヒントが隠されていたり、別ルートから入手した暗号同士が上手く噛み合ったり、ご都合主義満載な部分も、「大きな流れに導かれている」というサムが疑心暗鬼に思う世の構図と重なる。

作中、「アメージングスパイダーマン」の漫画本が手に張り付き、気怠そうに投げ捨てていたアンドリュー・ガーフィールド。つい笑ってしまった。

野外鑑賞会では「アメリカン・スリープオーバー(2010)」が流れる訳だが、キスすら未経験のマギー役を、副業でデリヘル嬢をこなす女優が演じている設定なのがまた皮肉的。

ポップカルチャーの皮を纏った「思想」が、無意識下で大衆に浸透し、選択を決定させ、行動を導き、文化を形成している。
ピアノを叩き弾きながら狂ったようにそう叫ぶソングライターをみて、「インターカラー」という国際組織によって2年前から定められているトレンドカラーのことを思った。

我々が、誰からも何かも干渉を受けない純粋な意思のみで選択出来るものは、世の中に一体どの程度存在するのだろうか。
さしすせ

さしすせ