ボンクラユースケ

アンダー・ザ・シルバーレイクのボンクラユースケのレビュー・感想・評価

5.0
まだ自分の中で咀嚼しきれていないが、この咀嚼しきれなさこそがこの映画最大の魅力だと感じるし、この咀嚼しきれない謎めいた感覚こそ私が「映画」に一番求めているものかもしれない。
本来ありとあらゆる物事は咀嚼しきれないままそこら中に転がっているものであり、理解したつもりでいたらまた違う側面が見えてくることなんて多々ある。
そしてそういう物事を「 陰謀論で理解したつもりになる」なんていうことは現実世界では人間としてどうなんだそれは…という行為だ。
しかし、陰謀論めいた妄執を抱えた主人公サムの、このミステリアス溢れる世界を陰謀論で理解しようとする姿勢になぜだか「映画」を観ている間は共感してしまうのである。 胸が熱くなったりする始末だ。
それは日常に潜む不条理な出来事から逃避するように映画を見続ける私と、陰謀論に逃げ込むサムが重なり合うからである。