YokoGoto

おとなの恋の測り方のYokoGotoのレビュー・感想・評価

おとなの恋の測り方(2016年製作の映画)
3.2
<ありのままの自分で愛されたい、愛したい>

『恋は盲目』と言われるが、あれは嘘だ。(笑)
もちろん、恋に落ちる瞬間のそれは、盲目的に恋に落ちるかもしれないが、ほどよく時間がたつと、必ず恋した理由を整理しはじめる。

彼は(彼女は)こういう所がすてき。
彼は(彼女は)●●だから好き。

確かに、恋する気持ちに理由はないかもしれないけれど、自分の中で相手の幻想を膨らませ、大きく期待して、自分が恋した理由を正当化しながら思いを募らせていくのだ。

だから、決して盲目ではない。

沸点まで達している時は、それでもなんとかグツグツ蒸気を立てながら、恋の列車は加速していくが、ひとたび、少し温度が冷め始めると、キョロキョロと周りを見始める。冷めた訳でもないけれど、迷いが生じる。その繰り返しで、うまく育っていけば、きっと迷いの無い恋が成就する、不確かな存在、それが恋であろう。

本作は、フランス映画のコメディ。
フランス映画というと、情緒的で哲学的な印象かもしれないが、本作は、実に軽いタッチでおしゃれなので、とても観やすい。構えず観られる作品だと思う。

離婚したバツイチの弁護士が、ひょんな事で出会ったのが、身長136センチの小柄なリッチマン。恋が始まるが、障害も多く....というコメディタッチのラブ・ストーリー。

主役の2人が、なかなかいい感じで、『あるかも』と思わせる設定なので、そこそこリアリティを感じさせる所はなかなか。

ありのままを愛することというテーマではあるが、決して綺麗事で済ませていない感じも好感がもて、自然に感情移入しやすい物語だと思う。

劇中ででてくる男性の台詞『このまま続ける?』という言葉が残酷すぎて、ウルッとしてしまった。

ありのままを愛するということは、実は難しい事なのだ。
だけど、それは不可能なことじゃない。

個人的には、ありのまま、相手を愛するためには、ある程度の時間が必要だと思う。焦らず、慌てず、お互いに向き合う事が大切だ。
一つひとつ相手を認め、尊重し、受け入れていくための、それなりの時間が必要だと、私は思う。
YokoGoto

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