Miver2

ダンサー、セルゲイ・ポルーニン 世界一優雅な野獣のMiver2のレビュー・感想・評価

4.2
セルゲイ・ポルーニンが踊るその姿と瞬間の凄まじさがとにかく圧巻だった。
この作品を観たら一度、この目で生で踊る姿を観てみたくなる。

バレエを踊るその姿に釘付けになりながら、その内面や生い立ちが語られて行く中で感じる心の闇の深さは計り知れない物があった。
だからこそ、踊るその一瞬がとても美しくて儚いのだと思いながら観てたりして。

家族を軸にして語られて行く中で、その家族の変化は遣る瀬無く、舞台で本能と野性を剥き出しにするその行いが産み出してしまう軋轢や葛藤が鬩ぎ合うかのように。
生きる苦味が滲む中で、踊るその瞬間の凄まじさはとても美しくて儚くて、観ていて思わず息を呑む。
美しさと裏腹の苦悩の深さが物語に影を落とすあの感じが、本人の内面にしっかりと捉えながら描かれているように感じた。

そしてYouTubeでも観れるあの場面を観ていて、その踊る姿からは祈りを感じた。
その一瞬に全てを賭けて、全身全霊で舞い踊るその姿に只々釘付けになるしかなかったな。

しかしながらいきなりブラック・ザバスの曲が流れて来たのでびっくりした。
語られて行く物語のテンポがとても良かったし、流れて来るロックな音楽の数々が良い味を出していた。

そして時に生きる苦さの中で時に感じる微笑ましさだとか、それがとても印象に残っている。
あの踊る姿はいつかこの目で生で観たいと思うし、セルゲイ・ポルーニンは生きてる限りこの先の人生は続く訳だから、生きるその先を追いたくなる。
命の鼓動が舞い踊るようなあの瞬間を体感出来て良かった。
素晴らしい作品でした。
Miver2

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