ジャックダニエル

人生フルーツのジャックダニエルのレビュー・感想・評価

人生フルーツ(2016年製作の映画)
4.5
高蔵寺ニュータウンを建設した建築家とその最高のガールフレンド。

「ゆっくり、コツコツと」

久しぶりに価値観を変えてくれるような映画と出会った。
偉大な建築家達の言葉とそれを体現するような、足して177歳のご夫婦。お二人の関係はまさに理想的な関係で、夫の津端修一さんは英子さんを最高のガールフレンドと。英子さんは、修一さんに向けて
「愛してるなんて言葉じゃ言わないけれど、彼が良い思ってくれればいいな」と。
65年も一緒にいて、それでも尚この関係性を築いていられる御二方。
そしてそんな映画のナレーションは名優樹木希林。

この映画は、焦らずゆっくり、時間を溜めてコツコツと事を成すことがメッセージの一つだと思うが、これを観た人が新たに何か始めてみようかなと、急がずに時間をためるような人生を送ってみようかと思う、それを実行してきた津端夫妻を観ていることで説得力に溢れ人生観を変えてくれる。そんな力がある映画。

人生フルーツ。とっても良い名前。
「風が吹けば、枯れ葉が落ちる。枯れ葉が落ちれば土が肥える。土が肥えれば、果実が実る。こつこつ、ゆっくり。人生、フルーツ。」
この映画を表現する上でこの上ない素晴らしい詩だと思う。
観てしばらく経っても尚、劇中の言葉が頭を離れない。

「愛してるなんて言葉じゃ言わないけれど、彼が良いなと思ってくれればいい」
「彼に良いものを着せて、良いものを食べさせてあげれば、自分に良い事が返ってくる」
「お金なんて残してあげられないけど、土は残してあげられる。何かが生まれるような土地を残せる」
「雑木林は自然のクーラー」
「小さなことから、時間をためて、ゆっくりコツコツと」
「生きている限り、最善を尽くしたい」

2人のためてきた時があって、美味しいご飯があって、戦争の悲惨さが含まれてて、そして死があって。奇跡と愛に溢れた究極の映画です。

円盤化もストリーミングもしていません。
上映機会があればどこかの映画館で是非観てください。