ドイツのオムニバス・ホラー。全三章。
【第一章 Final Girl】
※監督・脚本:ユルグ・ブットゲライト
あのブットゲライトが帰ってきた。
復帰第一作目は監禁拷問モノ。
性暴力サバイバーである少女の復讐劇。
全体的には『ネクロマンティック』というより『死の王』に近い雰囲気を感じる。
チ◯コ切断、自傷、首切りなどといったゴア描写を随所に散りばめてはいるものの、伝説の監督の復帰作としてはややインパクトが足りないように感じてしまった。
かつてブットゲライトとともに「ドイツ鬼畜四天王」と並び称されたイッテンバッハは、いまだ衰え知らずで『No Reason』などといった凄まじい作品をリリースし続けている。それと比べると、やはりブットゲライトの今作には隔世の感があった。
【第二章 Make a Wish】
※監督・脚本:Michal Kosakowski
聾唖のカップルが、チンピラ集団に延々と嬲られる顛末を描く。
オープニングの伏線も、最後にはしっかり回収される。
これはキツいなぁ…。最初から最後まで、視覚的にも精神的にもしんどい描写が続く。
ただし、映像作品としての完成度は極めて高い。
無名の若手であるMichal Kosakowskiが監督・脚本を手がけているが、その割に設定も構成も演出も結末もすべてが洗練されている。そこまで洗練されているからこそ、むしろ見ていて心底胸糞が悪くなるのだ。
全体的にツッコミどころが少なく、容赦のない悪意だけが浮き彫りとなっていた。
【最終章 Alraune】
※監督・脚本:アンドレアス・マーシャル
ドラッグの煙が充満する怪しいセ◯◯ス・クラブのお話。"生と死"ならぬ"性と死"が表裏一体の危険な世界。
ゴア度が最も高いのはこの章。割れたガラスで手首とマ◯コを切り裂き、バスタブに血がブワッと拡がる描写はなかなかのエグさ。
パッケージにもなっているモンスターも最後にちょろっと出てくる。クローネンバーグ作品のクリーチャーを思わせる、ヌメヌメグチョグチョとしたフォルム。実に気持ちの悪い造型である(一応褒めてます)。
トリを飾るだけあって、後半の爆発力が凄まじかった。