Miver2

怪獣の教えのMiver2のレビュー・感想・評価

怪獣の教え(2016年製作の映画)
5.0
昨年横浜赤レンガ倉庫の公演からスケールアップされての六本木での再演。
言うまでもなく、やっぱり凄かった。

青い空、流れる空、広がる海を世界の中心へと引き寄せてから描いて行く物語は、激しい憤りとヒリヒリさがより凄みを増していて。
何よりも窪塚洋介と渋川清彦、太田莉菜、それぞれの存在感がより強く感じられたのがとにかく素晴らしかった。

そしてTWIN TAILの音楽と共に描かれて行く物語と映し出す映像に釘付けになる。
最初の方で窪塚洋介演じる天作が語るその言葉に、自分も同じ事を思っていて、思わずハッとした所があった。
世界への激しい憤りが語られて行く中で、その言葉から時に滲む希望。
「夢を見る事に飽きる事なんてない 天国でも地獄でも」
それは生き続ける限り、この世が続く限り、永遠にそうなのだろう。
そんな事を観ながら思ったりしつつ。

時間が経つに連れて、演技するその姿と映し出す映像と奏でる音楽の元で浮かび上がる影がとても立体的で、それがとても印象的だったな。
3Dと同じ位の効果があったんじゃないかという位、あれは素晴らしかった。

途中、新たなシーケンスを加えて描いて行くその場面がより物語を引き締めて、更なる進化を遂げて行く。
そしてクライマックスでの窪塚洋介の飛び散る汗とヨダレた狂サイドを剥き出しにして演じる姿とその場面はとにかく圧巻で最高過ぎた。

映し出すエンドロールも終わり、幕が落ちてTWIN TAILが演奏するその姿が露わになって、終わりへと向かうその時、ヤマジさんが楽しそうにニッコリしていたのが印象的だった。
権力のない想像力は果てしない夢を見る中で、創造力と想像力がこの場所で何処までも果てしなく羽ばたいて行ってた。
2時間あっという間で、とにかくもう本当に素晴らしかった今回の「怪獣の教え」再演。

「モンスターズクラブ」から「アイム・フラッシュ!」へ、そしてTWIN TAILで2度ライブ演った上での横浜赤レンガ倉庫で初演、そしてブルーシアター六本木再演の今回。
全てがちゃんと繋がっていて、豊田利晃監督の一貫性を存分に体感出来た事を、とても嬉しく思った。

そして新たなシーケンスを加えての今回の再演は更なる進化を遂げて、より圧倒的な凄みを増して魅せるその空間が最高に素晴らしかった。
また再演やってほしいし、その中で進化して行く過程を存分に体感出来たら良いな。
そしてまた次回があるのなら、勝井さんがいるTWIN TAILでこの物語と空間を存分に体感したい所。

「シン・ゴジラ」も凄いけど「怪獣の教え」に出て来る怪獣も「シン・ゴジラ」に負けない位凄いんだぜって事で。
文句無しに素晴らしい舞台でした。
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