このレビューはネタバレを含みます
「他人を演じるのって楽しいね」
「偽の名前、嘘の自分。その方がみんな喜ぶんだよ」
「私みたいなって?」「それ、私じゃない」
誰でもない自分。名前をはぎ取り社会的なアイデンティティもその都度偽り、後に残るのは何だろう。「本当の自分」なんてあるのか。
何かしらの社会的なカテゴリーに所属していることを求められるのが大人だけど、そこには責任をはじめとしたさまざまな面倒事も付いてくるのだろう。
子供だって、グループで孤立しないためにはわかりやすいキャラクターを演じていないといけない。苦しいものがある。
存在しない他人になり切るのは、様々なしがらみから解放されるという意味で苦しい気持ちや鬱々とした気持ちを軽減できるのかもしれない。