ねぎおSTOPWAR

闇の子供たちのねぎおSTOPWARのレビュー・感想・評価

闇の子供たち(2008年製作の映画)
3.8
この映画が存在することはプロデューサーの椎井友紀子さんのインタビューで知っていました。日本映画の現状と、そもそも撮影すること自体が大変な苦労だったり、このようなテーマはなかなか応援してもらえない実情を訴えていました。

描かれているのは、
・幼児買春売春
・エイズ
・売春ツアーの存在
・臓器移植の倫理

原作者の梁石日さんすら「えっ、これ映画化するの!?」と驚いたほど、一筋縄ではいかないし重いテーマです。阪本監督は熟慮してこの仕事を受け、そして江口洋介さんの役を中心に組むことで2時間の映画に再構成するメドを立てたそうです。それでも尚横たわる表現の問題。

上記の椎井さんのインタビューや劇中のセリフでもあるんですが、タイの人も、社会問題として認知しつつも映画化をあまり面白く思っていないふしもあるわけですよ。イメージ悪化する危険がある。
阪本監督がキューブリックやその他監督と違うのは、関係者に真摯に向き合い、極めて丁寧に扱った点だと思います。ひとくちに優しい真面目な方なんだと思います。
これはどちらがいいとか悪いとかいうことではないと思いますが、「映画」では伝えたいことのために、時に本当に見るのが嫌なくらいの残忍さや醜悪なことを映すことがあります。
この映画はイメージはさせても検閲を受けたかのように直視することなく進みます。

キャスティングプロデューサーの肩書きで富田敏家さんの名がありました。「新宿スワン」などでもキャスティングPをなさっていたと思いますが、グッジョブですよね。すごい配役!
・・ただ宮崎あおいさんの演技はその期待を上回っていたのか?演出の問題なのか?あれだと人間らしい深みや悩むところが見えづらいように思いました。