キンキン

退屈な日々にさようならをのキンキンのレビュー・感想・評価

退屈な日々にさようならを(2016年製作の映画)
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 あんなに物語の伏線が次々と繋がっていくのだから、突然帰ってきたとしても不思議ではない。むしろ、物語がこれからどうなるのだろう、と言う期待を見据えての展開に加え、冒頭のイメージから道がそれていくスリリングとユーモアに食いついてしまう展開、見事。鑑賞しながら、「パルプ・フィクションを見たウディ・アレン」とか色々考えちゃったけど、これが今泉監督なんだなー。
 リピート割り引きあるの分かるわ。それぞれの人物関係、過去と未来、事前に知って鑑賞すると違った感想が生まれそうだ。

 様々な疑問は残る。何故に婦人警官なのか?清田ハウス、とミキが清田と何があったのか?清田ハウスの女の子達は一体なんだったのか?
 トークショーで監督が、清田ハウスについて語っていたが、「分からない」と。映画って別に分からなくても良いんだな。まあ、分からない方がこっちで様々な解釈出来るし、頭の中には謎の女の子達、が生きていくし。
 生きている、って事は裏を返せば、死んだ、って事実を知らないからそうなるわけで、本作の「死」をテーマにした内容は暗いって感じじゃなくて、その「知らない」って時のまだ生きていると知ってる時の心の落ち着きと、死んだことを知っているけど口に出せない後ろめたさ、の対立のようで、その互いがお茶の間に着いた時にぐるぐるぐるぐるしていたら輪っかになって○に包まれていたって言う、幸福感に満ちた映画だった。
 フィクションとして「死」を演じても、役者が演じているから別に本人は死んでいないわけで、それをこっちが分かっている、ってのは話に没入してないようにも思うのだけど、それを知っていると何て言うか安心するんだよね。そう、この映画ってなんか安心する。

 後から知ったけど、福島が舞台だったのね!言われなかったら分からなかったよ。分かっていたら、どうなの?ってわけじゃないけどさ、街並みが身近に感じて、震災はあったけど平穏な様子がキラキラしてた。
 子供達が出た時は、ちょっとウルっとしたなー。

 なんだろう。感想書いてたら、頭がおかしくなりそう。群像劇だと思ってたのにパラレルワールドに迷い混んだような思考に。でも、そんな迷子になった登場人物達が居場所を見つけるのが本作なんだな、と。

 主題歌は、劇中にも出演している、カネコアヤノ。「恋文X」の時ほど演じてはいないけど、ぽよーんぽよーんと跳び跳ねる。この娘の音楽はやっぱり暖かくて本作でより好きになったなー。だから、ロビーで「さよーならあなた」を購入。
 久しぶりだ。あの曲が聞きたい、からまたこの映画を見たいって気持ちになったのは。
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