なお

残像のなおのレビュー・感想・評価

残像(2016年製作の映画)
3.7
アンジェイワイダの遺作は彼自身

第二次大戦後のポーランド。
ナチスからの解放で国は戦争中よりも明るく、貧しいながらも未来へ向かっているのかと思ったら…戦争が始まる様な重々しさ。それもそのはず、ナチスが撤退したと思ったら次はソ連の影響下へ。主人公の部屋の窓の外には真っ赤なスターリンの肖像が掲げられ、その赤で部屋までも満たされる。そして共産主義が押し寄せようとしているのが、これで分かる。
しかし、それを拒否するかの様に主人公は体の一部である、杖で破る。

その行為に怖さはなくともまさしく、反体制!!抵抗3部作を作ったアンジェイワイダらしい、オープニングで流石でした。

主人公のストゥシェミンスキという画家は実在の人物という事ですが、私は知りませんでした。共産主義の波に押され、危険分子扱いされ、教師という職を失い、喪失する姿は、まさしく監督自身の様でした。
自分らしさを失わない、主人公の姿に自分自身は投影のしている様に映りました。

アンジェイワイダ監督は亡くなりましたが、
主人公と同じく、多くの作品が残る限り、これからも見られ続ける=生きてる 事だと思うので、また近々灰とダイヤモンドから 見たいと思います。←たぶんw
なお

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