叡福寺清子

ポップスターの叡福寺清子のレビュー・感想・評価

ポップスター(2018年製作の映画)
3.0
原題のVOX LUXはラテン語で光の声だそうです.じゃあ闇の声ってなんて言うんでしょうね.デクスターファンとしては気になる所です(はい,早速調べました.google翻訳ですとVox tenebrarumだそうです).こんばんわ三遊亭呼延灼です.

高校の同級生が起こした校内銃乱射事件.一命をとりとめたセレステさん.追悼式典で歌った自作の曲がヒット(そりゃそうだ).敏腕マネージャーの目に留まりスターの階段を駆け上がります.そして17年後,一児の母となったセレステさんはポップスターとして人気を獲得する一方で,お騒がせセレブとして魔女狩りにも等しい世間からのバッシングを浴びていました.そして,故郷への凱旋公演の幕が上がります・・・

誰もが連想するのが,マドンナ,ビヨンセ,レディ・ガガら,セレステ同様に称賛と非難を浴びてきたポップスター達.情緒不安定でアルコールとドラッグに溺れ,中には万引きで逮捕されるセレブ達.セレステの姿は彼女たちの姿そのものでした.それはファンを失望させる姿.ですが本作では,生々しい姿を執拗に追いかけます.あたかもパパラッチがそうするかのように.その点私は楽でございます.立ち小便したって,あぁ呼延灼がまたやってらで,話題にもなりませんからね.
視聴中思い出したのが「ジュディ 虹の彼方へ」です.彼女も私生活はボロボロでしたが,ステージに立つ姿はまさにスターそのもの.そしてファンの自宅で語り合うフランクな性格が私には好印象でございました.それに比して,セレステさんは触れれば火傷するような攻撃性をまき散らす,それは弱さを隠すための鎧だったのでしょうが,であればあるほどに癒やす存在を遠ざける事になる.ですが,セレステさんには献身的に尽くす姉と,どれほど反発していてもそばを離れない娘さんがいました.もし,二人の存在がなければ,セレステさんはとっくの崩壊していた事でしょう.ラスト・ショットがその姉と娘さんである事は,当然の事だと存じます.
娘さんがいるって事は当然旦那なり愛人がいたって事でしょうが,男の話が1ミリも出てこなかったのは,ちょっと笑ってしまいました,とさ.