Toineの感想文

悲惨物語のToineの感想文のレビュー・感想・評価

悲惨物語(1973年製作の映画)
3.8
【父娘による倒錯遊戯、その結末は…】
変態と名高いジェス・フランコ監督による官能小説風味の美しい映画でした。
劇中劇的なオープニングカットがインパクトあります。
しかも百合だったし♡
ごちそうさまです。

主演のソリダッドさんの存在だけで作品が成り立つほどの美貌。
60年代の黒いお洋服が似合うこと!
とんでもなかった。

義父の猟奇性と娘との妖しい関係。
それを観察しストーカーする男性(監督ご自身が演じておられました)。
覗き、嫉妬、NTR、初恋、裏切り。

ラスト8分くらいからのスリラー展開が良き。
今まで言いなりだった娘の心が他の青年に移った事で義父の感情が爆発。
裏切りは死で償わせる。
そんな気合が伝わる怒り狂い方。
好き好き。

物語はマルキ・ド・サド先生の小説「悲惨物語」からアイディアを拝借したそうです。
それがそのまま邦題になっています。
かなりシンプルな構成でした。
だから余計にソリダッドさんの美が引き立っていたのかも。
そもそも監督は物語に重点は置いておらずソリダッドさんの美しさをフィルムに収めるためにこちらの作品を撮ったのではないかとも思いました。
少なくともフランコ監督は間違いない審美眼をお持ちだと思います。