メロス

赤と黒 デジタルリマスター版のメロスのネタバレレビュー・内容・結末

3.8

このレビューはネタバレを含みます

野心溢れる労働者階級の青年ジュリヤン・ソレル。頭脳と美貌を武器に金持ちの女性たちと恋愛を重ね、出世の道を歩んでいく。しかし、最終的には恋に足を掬われ身を持ち崩し、悲劇的な最期を迎える。

読者のほうが苦しくなるくらい、卑屈で感傷的で短気で自尊心が高く、悲劇のヒーロー的思考を持つ、複雑な性格のジュリヤン。そんなジュリヤンの性質を上手く表現しながらも、時たまお茶目な表情や仕草を見せるジェラール・フィリップがとても魅力的だった。
映画の筋書きはほぼスタンダールの原作と同じだったけれど、裁判のシーンからは、もうマチルドの登場が無かったのが残念。ジュリヤンを助けるために奔走するマチルドの姿もちょっと見たかったな。
ギロチンに向かうジュリヤンの姿がとても悲しい。あまりに早く、あまりに若く、人生の絶頂から奈落までを駆け抜けて行ってしまった感じ。
しかしこの話、実際に起きた事件を題材に書かれたものだということに驚く。当時のフランスの厳しい階級制度や社会全体の閉塞感から、ジュリヤンのような悲しい若者が生まれてしまったのか。
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